俺様王子様
「あ…れ…?」

目を覚ますと、そこには半泣き状態の杏菜ちゃんがいた。

「……夢?」

だって、杏菜ちゃんは山神くんとイギリスのはず。

「夢なんかじゃございませんわ!このまま…朱莉ちゃんが目を覚まさなかったらどうしようかと思いました」

と杏菜ちゃんは目を潤ませながら言った。

「…目、覚めた?…よかった」

あたしたちの声を聞いて、そう言いながらカーテンを開けたのは三咲くんだった。

「三咲くん、ずっとここに?」

「俺、保健委員だから。ちょうど先生いなくてさ」

と言った。

「朱莉ちゃん、きちんと食事は摂られてますの?だいぶ痩せたんじゃありませんか?」

「俺もそう思う」

2人が心配そうにあたしを見た。

「だって…あたし…」

ずっと我慢してた気持ちが溢れそうになった。
< 95 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop