俺様王子様
杏菜ちゃんの家も豪邸であたしはびっくりした。
部屋に通されると、杏菜ちゃんらしい、お姫様のような部屋だった。

「さっそくですが、本題に入りますわ」

杏菜ちゃんが真剣な顔をするから、あたしもゴクッと唾を飲んだ。

「神藤緋音さんのことですわ。…朱音さんは、未月の許嫁なんですの」

「うん…最近知った…」

「その前に…わたくしは朱莉ちゃんに謝らなければならないことがありますの」

「…何?」

「わたくしも、町屋様…いいえ、未月も漣も、昔から幼なじみなんですの」

「へっ?」

「中等部になってから、学校ではきちんとしようということで、ただの同級生として接して参りましたの」

「確かに山神くんとは幼なじみって言ってたのに、様付けてたもんね」

ふと思い出した。
杏菜ちゃんがイギリスに行く前、未月は泊まればと声をかけてくれた。
その時は王子様キャラじゃなくて、普通の未月だった。
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