本当の居場所
「妹の未羽でーすっ。こんなお兄ちゃんだけど、よろしくね」
「おい、未羽っ」
恥ずかしそうに未羽ちゃんの頭を叩こうとする陽人。
未羽ちゃんは意地悪そうに笑って、陽人の手をかわすとリビングに戻っていった。
「紗雪ちゃん。ゆっくりしていってね」
にっこりと微笑んだ母親は、笑うと上がる口角が陽人にそっくり。
「さゆ、行こ」
「うんっ」
なんだか嬉しくなったあたしは、笑顔で陽人についていく。
彼氏の家族に受け入れられることって、こんなにも嬉しいことなんだ。
なんでだろう?
池川くんの時は感じなかったのに、陽人だとこんなにも嬉しい。