本当の居場所


放課後。

一緒に帰る、はずだったのに。


「さゆ、悪い!」


あたしの目の前で両手を合わせて謝る陽人。


「…知らない」


知らないんだから。

最悪。
なんでこんな日に…


「だって急に入ったんだもん…」

「なんで今日なわけっ? もう最悪」


突然、バスケ部の部会が入った。

しかも結構遅くまでかかるらしい。

当然、誕生日はなし。


「あたし、楽しみにしてたのに…」


陽人に祝ってもらうことが、1番の楽しみだったのに。


「ほんっとごめん! 今度埋め合わせするから」

「もういいっ…」




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