本当の居場所


「いきなり爆発が起こって、気付いたらこんなことになってた」


わけが分からないあたしに、呟くように説明する陽人。

遠くで、消防車と救急車のサイレンの音が聞こえた。


現場についた途端、消火活動を始める消防隊員。


「やけどをした方、いませんかー?」


大きな救急隊員の声が聞こえる。


「さゆ、大丈夫?」

「あたしは大丈夫だけど、陽人は………」


“大丈夫?”

そう聞こうとした声は、出なかった。

陽人の右の二の腕。

そこには、生々しいやけどの痕。




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