本当の居場所


「でも、あたしはずっと、陽人のやけどのことを引きずる。陽人はその度に俺のせいだって言って…そんなんじゃ、綺麗な関係のままいられない」


あたしの話を理解したのか、陽人は口を閉じた。


「陽人を大好きなままでいたい。だから…だから、別れよ…?」


涙を流しながら言うと、

陽人は一度目を閉じて、静かに頷いた。


「そうだな…」

「ごめんね…陽人」

「ううん………こっちこそ、ごめんな?」


謝らないで。

陽人は何も悪くない。


「今まで………ありがとう」


陽人が呟いたその瞬間、

あたしたちの恋は

終わった。




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