本当の居場所
涙を流すあたしの目元を、優矢は優しく拭う。
一瞬、体がびくっとなった。
今の話を聞いて、優矢はどう思ったかな?
怖くてたまらなかった。
「紗雪」
頭の上に響く、優矢の声。
ふわりと優矢の香りに包まれた。
「一人で抱え込むなよ…」
「え………?」
優矢の声が、なぜかつらそうだった。
「俺に悪いと思って話さなかったのかもしれないけど、一人で抱え込んでる紗雪見る方がつらい」
『もっと頼れよ』
そう言う優矢の優しさが、強く心に響いた。