本当の居場所


「紗雪………」


少し震えた声で名前を呼ぶ優矢。

あたしは優矢の顔を見上げた。


不安そうな優矢の顔が、そこにあって。


「俺だけを…見て?」


訴えかけるような、優矢の言葉。

あたしの過去が、優矢を不安にさせてる。

陽人とは終わったこと。

この先あたしは、優矢の隣で生きていくんだ。


そう言い聞かせてから、優矢に抱きついた。

あたしには、優矢だけだから…

優矢を、愛してるから…


だから不安にならないで?




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