本当の居場所


「紗雪?」


あたしの様子を見て、心配した優矢が声をかけた。

けれどあたしは、男の人をじっと見つめていた。

その男の人も、あたしから視線をはずさなかった。


「陽人? 知り合い?」


男の人の隣にいた女の人も、不思議そうに声をかける。

男の人は、ゆっくりと口を開いた。


「さゆ………」


あたしの名前を呼ぶ男。


「陽人………」




< 25 / 277 >

この作品をシェア

pagetop