本当の居場所
すべて話し終えたあと、
陽人は優しく微笑んだ。
「俺らいろいろあったけど、これからは幸せになれるよな」
「うん」
あたしは陽人と見つめ合った。
お互い幸せそうに微笑んで。
大好きな陽人が隣にいるから、もう泣かない。
やっと、本当の居場所に、戻ってこれたから。
あたしの本当の居場所は優矢だと信じていたあの頃。
もう陽人に会うことはないと、そう思ってた。
だけどあたしは、こうして陽人のそばにいる。
あたしの居場所は、陽人の隣。
陽人があたしの頬に手を添えた。
あたしは陽人を感じるように、ゆっくり目を閉じた。
陽人と2年ぶりに交わすキスは、
涙で少ししょっぱかったけど、
幸せな恋の味がした。
《END》