本当の居場所


最後のお皿を洗い終え、あたしはカバンを取りに行った。


「じゃあ、帰るね」

「うん…ありがとう」


あたしは軽く微笑むと、玄関に向かって歩きだそうとした。


「…星野さん!」


その時、

突然の呼びかけに、あたしは振り返った。

そこには、顔を赤く染める彼がいた。


「あの、さ……」


何か言いたそうに、口を開く。

あたしは黙って彼を見つめていた。


「その……好き……なんだ、星野さんのこと」

「え……?」




< 45 / 277 >

この作品をシェア

pagetop