本当の居場所
そして、気付いてしまった。
あたしは目に涙を溜めて、池川くんに言った。
「ごめん……別れてっ………」
「え?」
驚いた表情の池川くん。
あたしだってわけが分からない。
けれど今はこう言うしかなかった。
「ごめんっ!」
あたしはカバンを持って池川くんちを飛び出した。
どうして?
どうしてなの?
あたしは池川くんが好きなのに。
どうしてこんなにも、陽人の顔が浮かぶの?
あたしは、気付いてしまった。
本当は、
陽人が好きということを。