本当の居場所
誰もいない階段に、腰を下ろした。
こうやって2人きりになることも
もうないんだろうな…
嫌だけど…だけど………
「池川くん…」
あたしは名前を呟いて、池川くんを見た。
不安そうな池川くんがそこにいて。
あたしは口を閉じようとしたけれど、それをやめた。
「昨日は……ごめん」
あたしが謝ると池川くんは『ううん』と首を振った。
「それであたし……」
言わなきゃいけないのに、なかなか言葉が出ない。
別れを告げることが、こんなに辛いなんて。