本当の居場所


池川くんは、黙ってあたしの言葉を待っていた。

何を言われるか、池川くんは分かってるはずだ。

けれどこうやって、あたしの口から言うのを待ってくれる。

自分が傷つくと分かっていても、待ってくれてる。

この人は、どこまで優しいんだろう。


「……別れて…ほしいの」


あたしは声を振り絞って言った。

上から池川くんの寂しそうなため息が、聞こえた。


「分かってたよ、そう言われること。昨日も言われたしね」


そう言って、作り笑いをする池川くん。

そんな風に笑わないで。

思い切りあたしを責めてよ。




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