本当の居場所


「何してんだよ…? もうとっくにノブ帰ってんぞ?」

「分かってるよ」

「じゃあ何してんの?」


荷物を背負いながら、陽人はあたしに問いかけた。

相変わらず、あたしと目を合わさない。


「陽人を待ってたんだよ」


あたしがそう言うと、陽人はびっくりしたようにこっちを見た。


「…何言ってんだよ? ノブに怒られっぞ」

「別れたよ」


陽人が言い終わると同時に、あたしは言った。

陽人はまたびっくりしてあたしを見る。

あたしも陽人をじっと見つめていた。




< 73 / 277 >

この作品をシェア

pagetop