本当の居場所
「何してんだよ…? もうとっくにノブ帰ってんぞ?」
「分かってるよ」
「じゃあ何してんの?」
荷物を背負いながら、陽人はあたしに問いかけた。
相変わらず、あたしと目を合わさない。
「陽人を待ってたんだよ」
あたしがそう言うと、陽人はびっくりしたようにこっちを見た。
「…何言ってんだよ? ノブに怒られっぞ」
「別れたよ」
陽人が言い終わると同時に、あたしは言った。
陽人はまたびっくりしてあたしを見る。
あたしも陽人をじっと見つめていた。