幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「早急になんとかしなければ。
山南さんに必要なのは、外に出ることと、心の癒しですね」
伊東参謀はいいことを思いついたというように、ぽんと手のひらにこぶしを打ちつけた。
「拙者に妙案が!」
「何をする気ですか、参謀」
「嫌だな土方くん。きみも男なら、わかるでしょう」
そう言われて、首をかしげる副長とあたし。
伊東参謀はこちらに片目をつぶって、笑ってみせた。
「お・ん・な・と遊ばせてあげるに限りますよ!」
ぞくっ。
な、なにその顔。パチッ☆とか片目つぶられても。
あたしの横では青い顔で今にも吐きそうな副長がいた。
「拙者にお任せあれー!」
伊東参謀はあたしたちが止める隙もなく、山南先生の元へと軽やかに舞うように走っていってしまった。