幕末オオカミ 第二部 京都血風編


「早急になんとかしなければ。

山南さんに必要なのは、外に出ることと、心の癒しですね」


伊東参謀はいいことを思いついたというように、ぽんと手のひらにこぶしを打ちつけた。


「拙者に妙案が!」


「何をする気ですか、参謀」


「嫌だな土方くん。きみも男なら、わかるでしょう」


そう言われて、首をかしげる副長とあたし。


伊東参謀はこちらに片目をつぶって、笑ってみせた。


「お・ん・な・と遊ばせてあげるに限りますよ!」


ぞくっ。


な、なにその顔。パチッ☆とか片目つぶられても。


あたしの横では青い顔で今にも吐きそうな副長がいた。


「拙者にお任せあれー!」


伊東参謀はあたしたちが止める隙もなく、山南先生の元へと軽やかに舞うように走っていってしまった。


< 100 / 404 >

この作品をシェア

pagetop