幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「……ありゃあ、ムリにでも遊里に連れていく気だな」
「はい、そうですね……」
「小娘、すまねえ。特別任務だ」
「はい?」
呆気にとられていた頭が、『任務』という言葉で覚醒する。
「今の山南さん、変な女に捕まったら身ぐるみはがされる危険がある。
もし馴染みの遊女ができるようなことがあれば、その店にお前も潜入してくれ」
「え、ええええ?あたしが遊女の格好をするんですか?」
そういうお店って、あっちゃこっちゃで男女が……アレしちゃってるわけだよね。
しかも、山南先生を見張るってことは、仲間のそんなところを見ちゃうかもしれないわけで……。
嫌だなあ、行きたくないなあ。
「わかりました……」
でも、任務ならしょうがない。
あたしはしぶしぶながらも、首を縦に振った。