幕末オオカミ 第二部 京都血風編


「ならわっちは、初めて沖田センセが買うてくれた女でありんすな」


わざと遊女のような言葉を使い、部屋に用意されていた盃にお酒を注ごうとする。


すると総司はまだ何も飲んでいないのに、咳き込んだ。


「い、いらねえよ、酒は飲まない」


「ほんなら、お菓子がよろしおすか?それとも、琴でも弾きましょか?旦那はん、たんと遊んでっておくれやす」


「お前なあ、その変な言葉づかいやめろよ」


からかえばからかうほど、総司は赤くなっていく。


どうやら、本気で女郎遊びに慣れていないみたい。


その様子を見て吹き出したあたしの格好をじろじろと見て、総司はさらに顔を赤くした。


「……他の隊士は来させないようにしねえとな」


「なんで?山南先生がいない間は暇なんだよ。

みんなが遊びに来てくれると助かるんだけど」


「ダメだ!」


な、なによ。そんなに怖い顔で怒鳴らなくたって。


「そりゃ、隊士ばかりが頻繁に出入りしてたら山南先生も来なくなっちゃうかもだし、目立っちゃうけどさ……」


いつも騒がしい屯所にいるせいか、ちょっと寂しいんだもん。


口をとがらせると、総司はため息をつく。



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