幕末オオカミ 第二部 京都血風編


「そういう意味じゃねえって……」


「じゃあ、どういう意味?」


「……他の男に見せたくねえって意味に決まってんだろ」


じっとこちらを見る総司の熱のこもった視線に、ぽっと頬が熱くなる。


「えへへ……あたしキレイ?」


照れ隠しに笑って、普段は絶対着ないような艶やかな着物の袖を広げる。


「俺にとってはな」


同じく照れ屋な総司はそれだけ言うと、そっとあたしを抱き寄せた。


「早く帰って来いよ。お前がいないと、布団の中が寒くて仕方がねえ」

「総司……」


土方副長は、山南先生と明里さんの様子を少し見て、大丈夫そうだったらすぐに帰ってきていいと言っていた。


『きっとすぐ帰れるよ』と言おうとした瞬間、総司がぼそりと耳元でつぶやいた。


「なあ……ちゃんと花代払ってるし、一回抱いていってもいいか」


……え。

うっ、ほわ、ぎゃあ!


「だ、ダメだよ、任務中だもん」



< 105 / 404 >

この作品をシェア

pagetop