幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「山南先生が明里姉さんのところに来はりましたえ!」
その一言で、総司はがばりと体を起こした。
「任務だ!」
あたしははだけた襦袢をかき集め、帯をしめなおすと、そのまま天井裏に忍び込む準備をしはじめる。
「総司、ごめん!
お小夜ちゃん、せめて美味しいものを食べさせてやって!」
「ちょ、楓!襦袢のまま行くのかよ!」
「あんたが脱がすからでしょうが!」
強い口調で反論すると、総司はがっくりと肩を落とした。
今回はさすがに可哀想だったかも……。
でも、仕事が1番、色恋は2番!
「早く帰れるように、がんばってくるね」
腰を下ろしたままうなだれる総司の額にひとつ口づけをし、あたしは明里さんの部屋へと向かった。