幕末オオカミ 第二部 京都血風編
・気がかり≪総司目線≫
島原から帰った俺を迎えたのは、たまたま廊下で出会った平助だった。
「あ、総司おかえり。非番だったんだよね。どこに行ってたの?」
「ああ……ちょっと、な」
楓の任務は極秘で、土方さんと近藤先生以外は知らない。
山南さんに恥をかかせてはいけないからだ。
「ねえ、この数日、楓が屯所にいないじゃない。
何かの任務で出かけてるの?」
平助が興味津々といった顔でのぞきこんでくる。
「極秘でな」
それだけ言って誤魔化すと、平助は不満そうな顔をした。
「自分だけ楓に会ってきたんだ。ずるい」
「そのうちまた会えるだろ」
「あーあ、俺も山南さんについて島原で遊んでこようかなー」
山南さんについて……ってことは、あの店に行くってことか?
「それはダメだ!」
あんな女郎姿の楓を、他のやつに見られてたまるものか!
ちょっと様子を見て帰るつもりだったはずが……狼化もしてないのに理性が飛びそうになったんだから。
平助があの格好を見たら、何をしでかすかわかったもんじゃない。