幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「どうした」
難しい顔で部屋に入ってきた斉藤の浅葱色の羽織には、まだ新しい血の跡がついていた。
「巡察中に不逞浪士を見つけたのですが……どうやら、もののけにとりつかれていたようなのです」
「もののけに?」
土方さんの眉がぴくりと動いた。
「彼らの手には鱗や水かきのようなものがありました。
どうやら芹沢のようにもののけと同化し、徐々に京に戻ってきているようです」
タヌキのもののけと同化していた芹沢。
池田屋以前には同じようにもののけと同化した浪士達を見かけたが、禁門の変以降はなりを潜めているようだった。
そいつらが、また京の街を歩き回ってるっていうのか……。
「そうか……。今度見かけたら、上に引き渡す前にこっそり生け捕りにして連れてこい。
どうやってもののけの力を身につけるのか、結局まだわかっていないからな」
「乱闘になったら、生け捕りは難しいかと」
「できたらでかまわねえよ。
同じように副長助勤の面々に伝えてくれ」