幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「御意」
斉藤は小さく礼をすると、さっと部屋を出ていった。
「気がかりが多くて、落ち着かねえな……。
伊東派も来たし、新入隊士も増えるし、この屯所も手狭になってきた。
その移転先も決めたいんだが……」
土方さんが、とっくに空になった湯呑を持ち上げ、その底を見てため息をつきながら机に戻す。
あまり寝ていないらしく、その顔にはうっすらとクマができていた。
山南さんと明里、伊東参謀、もののけ……。
考えれば考えるほど、頭が破裂しそうになる。
土方さんの言う通り、気がかりが多すぎるけど……とにかく、楓が無事に早く帰ってくると良い。
それすなわち、山南さんと明里の間も問題がないということなのだから。
……決して、寂しいからとかではないからな!!