幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「けど、村の子だったら、こっちも覚えているはずだよね?」
京で、町娘の格好をしているときに会ったのならいいんだけど……。
情報を聞き出すために、言葉を交わした町人は何人もいる。
「っていうか、結局何も聞けなかった……」
がっくりと肩を落とす。
「いや、負けている場合じゃないから!」
思い直すと自分の部屋に戻り、さっさと化粧を落とすと、仮眠をとるために布団に入った。
朝支度の前、入浴の時間に明里さんの部屋に潜入するんだ。
そう思うのだけど、慣れない形に結った頭が痛くて、なかなか寝付けなかった。