幕末オオカミ 第二部 京都血風編
……結局、翌朝明里さんの部屋に潜入するも、あたしは何も見つけられなかった。
今の交友関係を示すものも、山南先生の腕を治すという薬の手がかりも。
あるのはただ、少しの化粧道具や着物、髪飾りだけ。
不自然なくらい、何も見つからなかった。
店主が協力して、明里さんが店に入った時の記録を調べてくれたけど、そこに書かれている紹介者や生国、両親の名前すら本当のものかどうか、怪しい。
「あたしって、役立たず……?」
このままじゃ副長に何て言われるか……。
『……あんた、この明里の顔に見覚えはないかえ?』
あれは、本当にどこかで会ったことがあるという意味だったんだろうか。
もしかして、からかわれただけ?
「はあああああ~……」
わけわかんない……。
大きなため息をついて、ふと窓の外を見下ろす。
もうお昼。そろそろ開店だな……。
「って、あっ!」
大門の方からのしのしと歩いてきた、あのやけに背の高い男は……!
「総司……!」
その姿が見えるなり、あたしはさっと部屋の中に隠れる。
「お小夜!お小夜、手伝って~!」