幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「伊東参謀に聞いたんですか?」
普通に考えれば、それしか思い当たらない。
思わず聞いてしまったけど、山南先生は肯定も否定もしなかった。
参謀に迷惑がかかると思うんだろう。
けれど……参謀はどうして山南先生本人に、今夜の計画を話したりしたんだろう?
副長と山南先生がもめても、参謀にはなんの利益もないはずなのに。
ううん、まさか……。
試衛館派を、もめさせることが目的なの……?
「……参謀だけじゃない。
山南先生のことを思って、話しそうな人間は他にもいる」
「それって……」
もしかして、平助くん?
彼は、江戸に行く前から、山南先生の体調をずっと心配していた……。
けれど、山南先生はそこはきっぱりと否定する。
「平助のことを言っているんなら、それは違うよ。
土方君はそこを見越して、平助には何も言っていないみたいだ。
私を監視していたのは、主に斉藤くんだったよ」
あたしはさっき受け取った式鬼を思い出す。