幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「落ち着いたあと、琉球の彼らの国には、討幕派は介入しない。
そういう約束で、彼らは動いているの」
そりゃあ、琉球の海は温かくて静かで、彼らにとっては絶好の住処になるかもしれないけど……。
「そうか、そういうことか……。
ついでに浪士と同化したもののけのことも話してくれねえか?
いったいどうやって、もののけと人を同化させた?」
副長が刀を手に、槐の元へ走ろうとする。
しかし、その前に半魚人たちが立ちふさがった。
「ちっ……邪魔するな!」
彼は次々に、彼らを切り裂く。
しかし、固い鱗に覆われた彼らは、うめきこそすれ、簡単には倒れなかった。
「なにっ!?」
唇のない口で何事か叫んだ半魚人たちが、副長へと飛びかかる。
水かきのついた足は、そうとうな脚力があるみたい。
「ちっ、次から次にわいてきやがる……。
おい平助、お前の能力で川を凍らせろ!」
副長は刀に霊力で起こした風をまとわせ、半魚人の口の中へと剣の切っ先を突っ込む。
それを勢いよく引き抜くと、反対側から向かってきた敵を、振り向きざまに蹴り飛ばした。