幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「あっ、そうっすね!」
平助くんはハッとした表情で、川の方を向く。
斉藤先生が副長の加勢に走り出した瞬間、彼の刀が冷たい冷気を吐き出した。
「簡単に言うけどさ、これめっちゃ力使うから!
総司、背後は頼んだよ!」
「おう」
平助くんが大きく息を吸い、吐き出す。
それと同じように、彼の握った刀身から、大量の吹雪が吐き出された。
川の表面が、ぱきぱきと音を立てて凍っていく。
「そうか、川が凍っちゃえば、もののけは地上には上がれないよね!
平助くん、すごい!」
「って楓、川って海まで続いてるんだよ?
いったいどこまで凍らせればいいわけ?土方さんっ!」
のんきに手を叩いて喜んだあたしにツッコミながら、平助くんは相変わらず半魚人に囲まれた副長に向かって叫ぶ。
けれど、副長は返事をする余裕はないみたい。
俊敏なもののけ相手の戦闘に、苦労しているみたいだ。
「副長、加勢します!」
斉藤先生は目の前の敵を袈裟懸けに斬り捨てると、襟の間から呪符を取り出す。