幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「か、楓?お前、どうして……」
「えへへ、来ちゃった!
あ、別にあんたに会いたかったんじゃないから。
ちゃんと山南先生の命令で、来たんだよ」
あたしは書状を届けてきたことを、簡単に説明した。
「……用事が終ったなら、なんでまだいるんだよ」
総司は難しい顔で、あたしをにらむ。
「ダメなの?」
「ダメっていうか……怪我はいいのかよ。
ムリしないで、屯所に帰れ」
「傷ならいい加減、ふさがったよ。
みんなと別れてから、何日経ったと思ってんの?」
なによ。
心配してくれてるのはわかるけど、もう少し嬉しそうな顔してくれたっていいのに。
「それに、みんなと一緒に戦いたかたんだもん……迷惑だった?」
また、足手まといになりそうだから?
見上げると、総司は大きな手で顔を覆ってしまった。
「……バカ。迷惑じゃねえよ。
会いたかったに決まってんだろ」
夜だからあまりよく見えないけど、顔が赤くなってるみたい。
「けど、その辺で隊士たちが見てるから……にやけないように必死なんだよ。
それくらい理解しろ」