幕末オオカミ 第二部 京都血風編
そうか、ひとまず気を失えば、あたしの血を飲ませることができる。
そうしたら、池田屋のときの総司のように、もののけの力を完全に除去することはできなくても、体にかかる負担は軽くなるかもしれない。
そうすれば、理性も取り戻せるかも……。
副長や斉藤先生、そして刀の峰で鎌のようなヒレと応戦していた平助くんが、総司の言葉にうなずく。
「……ごめん、山南さん!」
平助くんが、刀を腰におさめ、山南先生の懐に入り込む。
そして、強烈な拳を、そこに叩き込んだ。
「ぐああ……っ!」
吹っ飛んだ山南先生に、斉藤先生が呪符を投げつける。
「浄化!」
総司の狼化を解くときと同じ真言が唱えられると、呪符の効力に縛りつけられた山南先生が、苦しそうにうめいた。
「なんとかこれで、おさまってくれれば……!」
副長の言葉にうなずく。
しかし、山南先生は半妖の姿で苦しむばかりで、なかなか気を失わない。
「どうして?」
斉藤先生も真言を唱えながら、首をかしげる。