幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「いって……」
総司は後頭部を抑え、うずくまった。
副長にやられたのは確かに痛そうだったけど、そのほかは無事のようで、ほっとする。
「すごい。完全に猛獣使いだねっ、楓!」
「沖田の制御に関しては、俺たちを越えたか……」
平助くんと斉藤先生が、駆け寄ってくる。
もののけたちも、彼らの強さにひるんで、むやみに攻撃してくるのをやめたらしい。
「そんなことより、山南先生!」
あたしが駆け出すと、みんながその後ろからついてきた。
「早く、止血を!」
倒れて気を失った山南先生からは、ヒレや鱗が消えていた。
人間に戻った彼のお腹を副長が、腕の傷を斉藤先生が縛り始めた。
そのとき……。
「くそ……っ。おい、あんたたち、もののけなら、人間に怯むな!
早く全員片付けろ!!」
槐の悲鳴のような声が響いた。
少し後退していたもののけたちが、一瞬たじろいだあと、またこちらに歩んで来ようとする。
しかし、その足はすぐに止まった。