幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「土方くん、きみだけはどこまでも揺れずに……近藤さんを、新撰組を守ってくれ」
「山南さん……」
「そのために、ここで鬼になってくれ。
私はきみに傷を負わせた。
隊規違反で……切腹させてくれ」
まだなんとか動く右手で、ぐっと副長の手をにぎる山南先生。
「山南さん……俺はあんたのような強い男を、見たことがねえよ」
副長はそんな彼を眉をひそめて見つめ……悔しそうに唇を噛んだあと、その手を離した。
そして、静かに告げる。
「総長、山南敬助。
新撰組局長代理、副長・土方歳三の名において……切腹を申しつける」
平助くんが非難を込めた目で副長を見つめる。
その目からは涙が溢れていて、あまりの事に言葉が出ないようだった。
斉藤先生は悔しげに目を伏せ、総司は、じっと二人の様子を見ていた。
「そんな……嫌ですっ、副長!」
「楓、やめろ」
「だって、副長、ずっとずっと、本当は山南先生のことが好きで……ずっと心配してて……!こんなの、あんまりだよ!」
「やめろ!これが……武士ってもんなんだよ!」