幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「槐……どうして」
「あ、あんたは……もののけとなって、私についてきなさい。
せっかく頭がいいんだもの、みすみす殺すには惜しいから……」
槐は戸惑ったような顔で、もごもごとよくわからない理由を述べた。
さっきまで、仲間同士で殺し合いをさせようとしていたくせに。
「……やっぱり、本当は優しいんだな」
山南先生は、土気色になっていく顔でくすりと笑う。
「ありがとう、槐。
少しでもきみが後悔してくれるのなら、私は嬉しいよ」
「な……」
「どうか、早く戦いからは手を引いて……幸せになるんだよ」
槐の手から、力が抜けた瞬間……。
山南先生は、自分の腹を自分で……少しの躊躇もせず、横一文字に切り裂いた。