幕末オオカミ 第二部 京都血風編
山南先生の死は、あの狼の正体以外にも、いくつかの謎を残した。
彼に、土方副長の計画を話したのは、本当に伊東参謀だったのか……。
そして、槐があのちょうど良い時機に、小次郎と共に店を出られたのはなぜか。
『おそらく、楓が前日に店から出て行き、総司と共に戻ったことで何か起こると察したのだろう。
彼女たちは楓を始末するという目的があった。
だから、お前たちをおびき寄せるために、店を出て行ったのだと推察される』
斉藤先生はそう言っていた。
「さあ……行くか」
総司があたしの手を引く。
あたしは、山南先生の墓石を振り返り、そっと頭を下げた。
彼の墓前には、あたしたちが来る前から供えてあった花たちが、風に揺れていた。
山南先生……。
先生はやっぱり、隊士のみんなに愛されていたんですね。
みんなの相談に乗って、優しく励まして、見守っていてくれていた先生。
あんな怪我さえしなければ、先生はずっと幸せでいられたんでしょうか。