幕末オオカミ 第二部 京都血風編
後悔ばかりが、胸をしめつける。
六角獄舎で、彼が怪我をすることを防げていたら。
彼の心が不健康になる前に、もっともっと支えることができていたなら。
槐の正体に、もっと早く気づいていたなら。
「っく……」
「……また泣いてんのかよ」
総司が、つないだ手に力を込める。
だって、だって。
あたしが、あの戦闘で山南先生の一番近くにいたのに、彼を守り切れなかった。
「もともと、槐の恨みを買うようなことをしたの、あたしだもん……」
山南先生はどんなに苦しかったことだろう。
ただの遊女ではないと最初から気づいていたとはいえ、槐の気持ちが自分になかったことも、彼女があたしへの復讐のために、先生に近づいたことも。
あたしのせいで、あと何人が不幸になってしまうんだろう。
「そんなこと言ったって、何にもならねえじゃねえか。
誰だって、生きてれば恨みや妬みを買うことは、当たり前だ。防げねえんだよ」
「でも……」
「でも、じゃねえ!」
総司はぎゅっとあたしを抱きしめる。
痛いくらいの力で。