幕末オオカミ 第二部 京都血風編
『あうー』
『そ、宗ちゃん!それ……!?』
月を見た俺から、狼の耳と尻尾が生えてしまった。
母は驚いて気を失い、姉はますます戸惑う。
『か、可愛い……!
けど、どうして!?』
そこで沖田家は、母の秘密を知ることになったのだった。
神だと思って体を預けたのは、実は人狼だったのだと、推測される。
すべてを姉たちに打ち明けた母は、そのまま正気を失い、寝こみがちになった。
かと思うと、突然俺を箒で打ったり、蹴りつけたりするようになった。
下の姉も、母がおかしくなってしまったのは俺のせいだと言って、責めた。
『2人ともやめて!
宗ちゃんには何の罪もないわ!
悪いのは母様を騙した人狼よ!』
そうやって、ただひとり俺の味方をしてくれたのは、上の姉のミツ姉さんだった。
家族が生きていくために、姉さんは婿を迎えた。
その人はいい人だったけど、本当はもののけの血を引く俺を恐れていた。
夜は決して、俺に近づこうとしなかった。