幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「新撰組全員で上様をお迎えし、最後までお守りするぞ!」
「局長。全員というわけにはいかないでしょう」
斉藤先生の冷静な声で、部屋の中が静まり返った。
「そーですよ。
楓は上様本人にはもちろん、お付きの者にも顔を見られちゃまずいんじゃないですか?
うっかり知り合いがいるかもだし」
平助くんがあたしに「ねっ」と同意を求める。
「……そうですね、今回はおとなしく留守番してます」
幕府の人間は、1年以上前に大奥から脱走してきたあたしの顔なんか、もう誰も覚えていないと思うけど……一応、バレたら困るしね。
「お、おお、そうか……」
「伊東派にお前の正体を知られるわけにもいかねえしな。
監察は山崎のみ、同行することにするか。
お前と総司は、屯所の守りにつけ」
「えっ、俺もですか!?」
驚いた総司が腰を浮かせた。
いつもいつも近藤局長の近くで働いてきた総司にとっては、留守番なんてありえないんだろう。
「岡崎の忍も、当然今回の情報は得ているだろう。
あいつらは楓の命を狙っている。
俺たちがいない間に、屯所に襲撃をかけるかもしれねえ」
「あ……」
ちらりと、槐の顔が脳裏に浮かんだ。