幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「楓の面倒を見るのは、お前の仕事だ」
「そう……ですね」
総司は納得したようで、こくりとうなずくと座りなおした。
その横顔は、少しがっかりしているようにも見える。
きっと、局長の晴れ舞台が見られないのが残念なんだろうな……。
罪悪感が、ちくりと胸を刺した。
新撰組で1位2位を争う使い手の総司が、そんな重要な場面で出られないなんて。
「ごめんね、総司……なんなら、出動してもらっても……」
「アホ。お前ひとりで何かあったらどうするんだ」
「そうだよ楓。総司に守ってもらいな」
苦笑する総司に、からかうように笑う平助くん。
「総司は池田屋、禁門の変と活躍しっぱなしだったからな。
たまには留守番もいいだろ」
と、池田屋で土方隊だった原田先生も笑った。
土方隊は後から到着したため、彼は近藤隊の面々ほど活躍できなかったから、そう言うんだろう。
「そうそう!女一人にできるわけねえよ!」
「そう距離も遠くないし、ほんの少しの間だ。
総司の力が必要になったら、二条城からすぐに伝令を飛ばす。
……とはいえ、今の長州に二条城を責めるだけの兵力はない。
何事もなく終わるだろう」
永倉先生と斉藤先生まで、総司だけじゃなく、あたしを励ますように言ってくれた。