幕末オオカミ 第二部 京都血風編


そこでこの話は終了と思われたとき……広間の外から、隊士の声がした。


「局長、いらっしゃいますか」


最近では、神出鬼没な伊東参謀の盗み聞きを防止するため、幹部が秘密の会議をするときは、部屋の声が外に漏れないよう、斉藤先生の術で結界を張ることにした。


つまり外からは話し声が聞こえないから、『いらっしゃいますか』となるんだろう。


「ああ、どうした?」


局長が返事をすると、静かに障子が開いた。


そこには、一番隊の平隊士がいた。


「局長と沖田隊長に会いたいという男が来ているんですが」


「俺と総司に?」


局長が首をかしげる。


すると、隊士は難しい顔で続けた。


「僕の勘違いかもしれないんですが……あの男、禁門の変のときに、六角獄舎の屋根にいた不審人物と似ているような……」


「本当か!」


総司が思わず腰を上げる。


隊士の言っているのが本当なら、あの銀色の狼が、人の姿をして直接訪ねてきたということ?


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