幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「沖田総司殿」
銀月さんに真正面から見つめられた総司は、じっとその目を見つめ返す。
「結論から申しましょう。
あなたに、私たちの一族に帰ってきてほしいのです」
「えっ!」
みんなが驚きで目を丸くする中、あたしだけが思わず声を出してしまい、慌てて口を押える。
「どういうことだ」
総司の低い声が、短く聞き返す。
「あなたの父上は、我が一族の偉大な頭領でした。
その頭領が最近、お亡くなりになられたのです」
銀月さんが沈痛な面持ちで言う。
「総司の父上って、そんなすごい狼のもののけだったのか……」
平助くんが感心したように言う。
たしかに、居るだけですごい威圧感の銀月さんが偉大だって言うくらいだから、きっとすごい力を持ったもののけだったんだろう。
「私たちは本来、狼の姿をしています。
なので、人間よりは長いとはいえ……いつかは寿命が来ます。
あなたの父上は、ちょうど500歳で亡くなられました」
ご、五百……!?
じゅうぶん長いよ!大往生じゃん。でも、今そんなこと言っちゃダメだよね。