幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「話をつけて、すぐに帰ってくるから、心配しないで、と……」
平静を装うとしているのに、額からは汗が。
唇が震えて、うまくしゃべれない。
もしかしたら、今生の別れになってしまうかも……。
あたしの血を取り戻すのが、上様の目的だろうから、また檻の中に入れられてしまうのだろう。
総司の残り香を確かめるように、彼に触れられた感覚をかき集めるように、自分の体を抱く。
もう、彼の存在を傍で確かめることは、できなくなってしまうのかな。
それでも、あたしは……みんなを、総司を、守りたい。
「行ってきます」
あたしは隊士に会釈すると、総司への未練を断ち切るように、屯所の門の方へと駆けた。
待っていて、総司。
臆病なあたしだけど、やっと見つけた大切なものだけは、絶対に守り抜くから。