幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「よし、もっと血を出させよう。
大量に摂取すれば、完治するかもしれん」
上様の様子を見ていたあたしに対して、一橋公がおそろしいことを!
「待て待て、慶喜。
いくらなんでも、人の血を一度に大量に飲むことは辛い」
落ち着いた様子の上様が、一橋公を止めてくれる。
ああ、助かった。
たしかに、獣でもない限り、血なんか水みたいに一気飲みできないよね。
そんなふうに思った刹那、総司の顔がふと脳裏に浮かんだ。
「恐れながら、一橋公。
薬にはどんなものにも副作用があります。
ここは少量ずつで様子を見るのが良いかと」
「松本の意見に、余も賛成だ」
「副作用……そう言われれば、そうかもしれん」
二人の意見に、一橋公はあっさり納得。
うう、この人苦手だ……気難しいっていうか、ちょっと友達になりたくない感じ。
「楓殿。あなたのご両親が亡くなられているので、あなたの血の効用については、一部しかわかっておりません。
どうか我々と一緒に行動していただき、治療の他にも、私の研究に協力していただけないでしょうか」
松本さんが丁寧に頼んでくる。