幕末オオカミ 第二部 京都血風編


「これ以上は、楓殿の体に障ります。

血が少なくなって、顔色が青くなっている」


そういえば、少しくらくらする……。


「……楓、楓大丈夫か?」


あたしとは逆に、顔色の良くなった上様にのぞきこまれる。


「ああ、はい、なんとか……上様は?」


「余は……痛みも引いたし、手足の腫れもおさまったようだ」


「そうですか。良かっ……」


言い終わらないうちに、視界がかすんで、突然歪んだ。


「楓殿!」


「楓!」


ああ、気持ち悪い。


体に力が入らない……。


「松本、どうすればいい?」


「ゆっくり休ませてやるしかありません。

食欲が出たら、滋養になるものをたくさん食べていただきましょう」


「楓、何が食べたい?なんでも用意してやるぞ」


二人の会話が、遠くから聞こえるみたい。


ゆっくり畳の上に横になったあたしの手を、上様がにぎる。


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