幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「脅しじゃありません。
上様は本気で、新撰組の幹部を処刑して、隊を取り潰すおつもりです」
さっと、局長の顔色が青くなった。
よほど衝撃的だったのか、肩から手がするりと落ちる。
「大丈夫。あたしが、そんなことさせません」
局長の手を取ると、彼は困惑したような表情であたしを見つめなおす。
「あたしがついていけば、新撰組もお咎めなしで済みます。
そして、上様のご病気が治られたら……根気よく、説得するつもりです。
新撰組に帰れるように」
もう少し様子を見る必要があるだろうけど、上様が完全に快癒されれば、あたしはまた用済みになるだろう。
上様の一番大事なのは御台様であって、あたしはただの『薬』。
必要なときだけ、そばにあればいいはずだ。
「局長……勝手なことを言って、ごめんなさい」
お父さんのような局長の顔を見ていたら、ぎゅうっと胸が痛くなった。
本当は離れたくない。
ずっと、新撰組にいたい。