幕末オオカミ 第二部 京都血風編


「総司に……総司に、伝えてください。

あたしは、いつだって総司のことを一番に想ってるって」


「楓くん……」


「……ずっと、ずっと、大好きだから……」


気づけば、頬を涙がつたっていた。


喉まで痛くて、声が震える。


「いつか……絶対に帰ってくるから……」


待っていて。


その一言が言えなくて、代わりに涙ばかりが溢れる。


今度いつ会えるかもわからないのに、『待っていて』?


本当は寂しがり屋の総司にとって、そんなに酷なことがあるだろうか。


いつ帰るかわからない相手を待ち続けるなんて、きっと想像もできないくらい辛いに違いない。


待っていてほしい。


でも、『待っていなくていいよ』って、言ってあげたい。


相反する感情がごちゃ混ぜになって、ますます言葉が出なくなってしまった。


ああ、どうしてこの世は、誰もが幸せになることが、できないんだろう。


局長は眉を下げ、またあたしをそっと抱き寄せ、背中をさすってくれた。


そのとき……。

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