幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「近藤先生!」
「上様、この者は私の実の弟と思い、可愛がってきた者。
彼の無礼は、すべて私の責任です。
彼に罰をお与えになるというのなら、代わりにすべてこの近藤がお受けします!」
さすがに局長だけに土下座をさせるわけにはいかず、総司も横で膝をつく。
すると、局長はぼろぼろと涙を流しながら、その顔をおそるおそる上げた。
「おそれながら!
楓様は、この者が初めて……心の底から愛した女性にござります。
もちろん、上様のご側室にそのような想いを抱くことは許されぬことは、百も承知。
しかし、どうか……どうか、この者の命をかけた願い、お聞き届けいただきたく存じます!」
局長は額を床につくほど深く下げ、上様に懇願した。
そんなことをしたら、局長の首が飛んでしまうかもしれないのに……。
「馬鹿なことを言うな!
お前がこいつの血を定期的に上様に届けるという保証はあるのか?」
一橋公が、やっといつもの調子を取り戻す。
「上様、あたしも、お約束します」
カラカラの喉から、なんとか声をしぼり出すと、全員がいっせいにあたしを見た。