幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「絶対に、上様を裏切るようなことはいたしません。

知らせを受け次第、いつでもこの血を差し上げに駆け付けます」


『もののけの力をお貸ししましょう。

伝令の際も、移動の際も、我々が協力いたします。

我々なら、江戸と京の間くらいなら、3日とかかりません』


あたしの言葉を、銀月さんが後押ししてくれる。


突然狼がしゃべって、ぎょっとした上様は、目を丸くした。


けれどさすが上様、何度か深く呼吸をし、すぐに平静を取り戻す。


「……だからって、もののけの花嫁になると言うのか?楓」


「もののけの、花嫁……」


思わず、山の中でお猿やクマやシカ、そして狼に囲まれた自分の姿を思い浮かべてしまった。


紋付き袴を着けた人狼の横の、マヌケな白無垢のあたし。


「あはは……!はい、なります。

薬としておとなしくしているより、よっぽど楽しそうですから!」


思わず笑って答えると、上様はまた目を丸くして……次の瞬間、ぷっと吹き出した。


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