幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「……そして、京で戦が起こるまでは、お前は新撰組隊士として人の世界に潜んでいるがいい。
一番隊隊長として、人の姿で世のために尽くせ」
「良いのですか!?」
総司の代わりに、近藤先生がたずねる。
「ああ。幕府軍と連携をとるためには、沖田と新撰組が繋がっていた方が都合が良かろう」
なるほど。
新撰組の他に、もののけの軍隊と伝令をつないだり協力できる幕軍はないもんね。
たしかに、総司と新撰組が密に繋がっていた方がいいかもしれない。
「そして……」
上様が、あたしの背中を優しく押した。
「新たな武力の礼として、余の側室をお前に与える。
綺麗に離縁してやろう」
とん、と繊細な指に押され、あたしは一歩前に出る。
すると総司がその場に立ち上がり、両手を開く。
その途端、すぐにでも抱きつきたいのを我慢していた体が、勝手に走り出した。