幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「お前を放っておくんじゃなかったよ。
こんなに魅力的な人だと知っていたら、御台の次に大切にしたのに」
「えっ」
み、魅力的って……あたしが?
「幸せにな、楓。
余を助けてくれて……ありがとう。
お前のおかげで、これからも生きる勇気が湧いたよ」
まさか、上様がそんな言葉をかけてくれるなんて。
あたしは胸がいっぱいで何も言えなくなって、ただ頭を下げた。
「沖田総司……楓を、よろしくな」
そう言われた総司も、何も言わずに深く頭を下げた。
その手は、ぎゅっと強くあたしの手をにぎってくれていた。
温かいその体温を感じると、自然に涙がぽろぽろと溢れて、落ちた。
もうこれで、離れなくて済むんだ。
隠れることなく、堂々と総司の隣にいられる……。
「ありがとう総司、ありがとう……大好きだよ」
上様が行ってしまったあとでそう告げると。
「俺も……いつもうまく言えなかったけど……、お前が大好きだ。もう、絶対離さない」
総司は局長の目の前にも関わらず似合わないセリフを呟くと、あたしを強く抱きしめ、熱い熱い口付けをくれた。