幕末オオカミ 第二部 京都血風編
第五章

・夏の桜模様



結局上様が京にいたのはたった三日。


暑い日差しが降り注ぐ中、彼ら一行は大阪へと出立した。


「いやあ、めでたいめでたい!」


近藤先生はそう言って、土方副長を抱きしめた。


「って、なんで俺を抱きしめるんだよ近藤さん」


警護から帰ってきた幹部が集まった局長室。


抱きつかれた副長は、嫌そうではないけれど、ちょっと暑そう。


もう夏だもんね……。


「だって、お前が立ててくれた計画のおかげで、楓くんが帰ってこられたんじゃないか!」


後で聞いてみると、どうやらもののけに二条城を包囲させて上様たちを驚かせるという計画を立てたのは、土方副長だったらしい。


「別に……あれは、総司の手柄だろ。

それに、めでたいばかりじゃねえぜ。

総司は新撰組の隊務だけじゃなく、もののけの頭領になっちまったんだから。

戦が起これば忙しくなるぜ」


そう……総司はあの一件で銀月さんたちの力を借りるため、あんなに嫌っていた人狼の頭領となってしまったのだった。


『もし何か相談がありましたら、いつでもお呼びください。

私は、あなた様の近くにいます』


以前にそう言っていた銀月さんは、総司が頭領になるならという条件で、すぐにあのもののけたちを呼び寄せてくれたらしい。


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